管理人より

 このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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12月の国際化学肥料ニュース

* 12月16日、中国政府が2014年の関税改定と実施税率等を正式に発表し、2014年1月1日から施行する。
 化学肥料の輸出関税については、通常の輸出関税をゼロにして、2104年の暫定関税を設定し、一部の化学肥料は需要期と非需要の2段階関税を設定する。また、一部の化学肥料は税率に代わって、固定税額(トン当たりに一定の金額)にする。概して、化学肥料の輸出関税が大分引き下げられる。特に尿素、DAP、MAP、化成肥料などが非需要期の輸出関税が大幅に下げられます。
 2014年中国化学肥料の輸出関税改定詳細は当該PDFファイルで見ることができる。
2014年中国輸出関税改定税率表(中国語原本)
2014年中国化学肥料輸出関税改定税率表(抜粋、日本語訳文)
2012~2014年中国化学肥料輸出関税対比表

* 12月11日に中国政府財政部は、2014年度の輸入輸出関税改定案が国務院関税委員会の審査を通し、国務院の許可を得たと発表した。
 化学肥料に関しては、2014年の関税改定では化学肥料の輸出関税をある程度引き下げることになる。なお、実施税率等の詳細は12月末に公表するとのことである。

* 北米Canpotexが日本との間に2014年の塩化加里輸入契約を締結した。塩化加里(粉と粒)の平均輸入価格はCFR380ドル/トンである。2013年上期の塩化加里輸入価格は470ドル/トンに比べ、90ドル/トンの下落となる。但し、現在、ロシアUralkaliが東南アジア地域に提示するCFR300~310ドル/トンに比べ、割高感を払拭することができない。

* ベトナム「Economic Times」紙12月5日の報道によれば、今年1~11月国内の化学肥料の生産と販売が不振であった。昨年同期に比べ、尿素生産量が19.8%増の190万トンであったが、DAPが19.2%減の21万トン、NKP化成肥料が3%減の220万トンであった。販売不振で、11月末現在に尿素在庫24.5万トン、DAP在庫5.35万トンである。理由は中国から廉価の化学肥料が大量に輸入されたことである。

* 税関速報によれば、日本今年のりん安肥料輸入量が急増した。1~10月のDAP輸入量が25%増の34.37万トン、MAP輸入量が7%増の10.9万トンであった。特に10月の輸入量が極めて多く、DAPが66%増の6.75万トン、MAPが8440トンであった。主な輸入元が中国で、DAP輸入量12.8万トン、MAP1.2万トンであった。なお、サウジアラビアからDAP輸入量が急速に増加した。

* 北米の加里肥料メーカー御三家、Agrium、mosaic、Potash Corpは2013年第3四半期の塩化加里輸出量が326万トンに達し、昨年同期より1.77%増であった。輸出先の内訳は、アメリカ190万トン、ブラジル48.5万トン、インドネシア21.2万トン、インド14.1万トン、タイ7.8万トン、マレーシア7.6万トン、中国6.9万トン、フィリッピン2.6万トン。

* 塩化加里の現品国際価格が続落して、6ヶ月期間契約価格とのかい離が広がっている。11月末現在、6ヶ月期間契約のFOB価格はカナダ305~315ドル/トン、ヨルダンとイスラエル330~340ドル/トン、ドイツ305~315ドル/トン、ロシア300~315ドル/トンであるが、現品FOB価格はカナダ280~340ドル/トン、ヨルダンとイスラエル280~340ドル/トン、ドイツ290~340ドル/トン、ロシア250~330ドル/トンとなっている。

* アメリカ肥料研究所(TFI)の最新データによれば、8月から北米地域の塩化加里生産量が増加に転じ、10月の塩化加里生産量が146万トン、9月より9.3%増。また、地域内販売量96.8万トン、9月より45.6%増、輸出51万トン、9月より11万トン増。10月末現在の在庫量283万トン。
 また、11月北米地域の塩化加里生産、輸出、地域内販売量が昨年同期に比べ、生産量が0.2%減の148.1万トン、輸出が128%増の53.8万トン、地域内販売量が9.6%増の76.6万トンであった。

* ブラジル税関のデータによれば、10月尿素輸入量が58.5万トン、DAP輸入量1.2万トン、MAP輸入量19.36万トンであった。1~10月の合計輸入量は尿素275万トン、DAP73.81万トン、MAP210万トンであった。また、塩化加里輸入量667.6万トン(カナダから227.6万トン、ロシアから188.1万トン、イスラエルから92.4万トン)であった。

* インド2013年の塩化加里輸入量が400万トン以上に達することが明らかになった。12月だけで新たに約100万トンが港に到着する予定である。現在CFRインドの価格は369~375ドル/トンである。

* モロッコOCPはりん安の輸出価格を小幅引き上げる予定である。ブラジルに対して、2014年1月からMAPのCFRブラジル価格を現在の415ドル/トンから430ドル/トンに、スペインに対して、DAPのCFR価格を400ドル/トンから410ドル/トンに引き上げることを通告した。

* ヨーロッパの尿素市場価格が上昇している。他の地域に比べ、20~30ドル/トン高い価格で取引する。現在、中東と北アフリカからヨーロッパ向けのFOB価格が350ドル/トンを超えている。
 尿素価格上昇の理由は、アルジェリアとエジプトが天然ガス供給不足で、尿素工場の稼働率が30~70%に制限され、輸出量が激減したこと、ウクライナーが前期の尿素価格の下落により一部の尿素工場を休止することと、ヨーロッパ市場が来年春季耕作シーズンに必要な尿素を12~1月に注文確定し輸入する必要があることである。
 但し、エジプトの尿素生産回復とロシア、ウクライナーの輸出増により、今回ヨーロッパの尿素価格上昇傾向は来年1月に終結すると予想される。

* ブラジル化学肥料協会のデータによれば、2013年1~11月ブラジルの化学肥料販売量が前年より5.2%増の2910万トンである。2013年1~11月、ブラジル国内化学肥料生産量が3.9%減、逆に輸入量が11.7%増。ブラジルは世界最大の大豆と砂糖生産国、大豆生産量が9000万トンに達し、第2位のトウモロコシ生産国、生産量が7880万トン。化学肥料需要量の増加は、大豆とトウモロコシ栽培面積の拡大と施肥量の増加によるものである。

* GTIS(Global Trade Information Services, Inc.)の市場調査データによれば、アメリカ2013年10月の加里肥料輸出量18万トン、前年同期より135%増。輸出先は日本向け6.1万トン、中国向け3.5万トン、韓国向け2.6万トン。2013年1~10月の加里肥料輸出量が210万トン、前年同期より32%増であった。
 また、カナダ2013年10月塩化加里輸出量も前年同期より13%増の120万トン。
 一方、ベラルーシ通信社の報道によれば、ベラルーシ2013年1~10月の塩化加里輸出量(100%K2O計算、以下同)が前年同期より9.3%減の293.3万トン、平均輸出価格も15%下落の622ドル/トンであった。特に、2013年7月UralkaliのBPC離脱以降、輸出価格の下落が激しかった。

* ベトナム政府の発表によれば、2014年1月から尿素とDAPの輸入に3%輸入関税を徴収することになる。また、化成肥料の輸入関税が6%に引き上げる。国内の化学肥料産業が需要量をほぼ満足できるまでに成長した。輸入関税を徴収することを通じて、国内産業を保護する狙いである。

* ヨルダンAPCが2013年1~9月の営業業績を公表した。純利益が昨年同期より8.7%減の5.87億ドル、税引き後純利益が28%減の1.69億ドル。利益低下の原因は加里肥料の国際価格の低迷と電気、燃料、水、労働力等生産コストの上昇である。

* カナダKOCH社はアンモニア合成ラインの増設と設備更新に3000万ドルを投資することを発表した。2014年下期から2015年末日まで工事を行い、2016年からアンモニア生産能力を8.2万トン/年増加する。また、マニトバ州Brandon市にある尿素工場を拡張する計画も公表した。

* サウジアラビアMaaden社はりん安生産プロジェクトに42億ドルを投資することになった。サウジアラビアのりん安生産プロジェクトは第1期DAP 300万トン/年の建設がすでに完成し、一昨年から生産を始めた。今回の投資は第2期DAP 300万トン/年に当てるものである。当該プロジェクトには計70億ドルを投資し、最終にDAP 600万トン/年の生産能力を有する。Maaden社、アメリカMosaic社、サウジアラビアSABIC社はそれぞれ60%、25%、15%の株式を持つ。

* ロシア富豪Suleiman Kerimov氏が所有していたUralkaliの株式の売却先の一つとして、Uralchem社のCEOがその株式の売却は2013年12月~2014年1月に完了する見通しと述べた。また、当CEOはUralkaliとBelaruskaliの関係回復、共同販売同盟の再結成に反対しないことも表明した。

* 12月3日、カナダPotash Corp社がリストラする計画を発表した。計画では、Lanigan工場とCory工場を筆頭に全従業員の約18%の1045名従業員を削減して、稼働率が58%に引き下げるとのことである。塩化加里の販売不振で、2013年の塩化加里生産量が775万トンに下方修正して、2014年も減産を続ける。
 Potash CorpのCEO Bill Doyle氏は従業員と取引先に申し訳ないが、会社の業績を回復するために、このリストラ計画が必要であると述べた。Potash Corpの塩化加里生産能力が1340万トン/年で、世界最大の塩化加里メーカーである。

* ロシアUralkali社はマレーシア土地発展局(FELDA)と合弁会社を設立して、ロシア産塩化加里をマレーシア土地発展局、国営農場および第3国に独占的に販売することになった。合弁会社が2014年1月1日から営業開始する。

* チリSQM社は12月1日から硝酸加里の輸出価格を100ドル/トン値上げした。小袋包装の硝酸加里CFRアメリカ価格は1150ドル/トン、CFRヨーロッパは880~900ユーロ/トンになる。

* ロシアUralchem社はオランダStamicarbon社が開発した尿素の新技術を導入することを発表した。この新技術は品質向上と生産コスト低減の効果があり、まず、中間試験で技術をテストし、効果が確認されれば、現有の設備に順次導入する。

* アメリカPCS社は、市場需要不足のため、リストラを行うと発表した。計画では2014年下半期までにカナダ、アメリカとトリニダードの従業員約18%を解雇して、フロリダSuwannee Riverにある2ヶ所工場を閉鎖する。これにより、2015年からPCS社のりん酸肥料とりん酸塩化学品生産能力が21.5万トン削減されることになる。

* Borealis社は中欧ブルガリアにFeboranという合弁会社を設立して、化学肥料の生産販売に乗り出した。2013年12月Feboran社はブルガリア最大の化学肥料メーカーNeochim社の株式20.3%を買収した。Borealis社のCEOは、合弁会社の設立とNeochim社の株式買収は会社が中欧と東欧に化学肥料の優位を保つ戦略であると説明した。

 

2013年化学肥料ニュース