管理人より

 このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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12月の国際化学肥料ニュース

* ベラルーシからの報道によれば、ベラルーシBPC社のKrasnoslobodsky加里鉱山の2020年加里鉱石採掘量が5500万トンに達する見込みで、1200万トン塩化加里の生産量に相当する。また、2020年塩化加里輸出量が前年度より70万トン増の1050万トンに達する。

* 12月第3週のりん安市況が好調である。東半球ではインド、パキスタンとバングラデシュはりん安の国内在庫量が少なく、輸入に力を入れた。11月末現在のインドDAP在庫量が300万トン未満、昨年同期より130万トンを少ない。パキスタンがさらにひどく、DAP在庫量が10万トンしかない。この3か国のDAP需要により、ヨルダンとエジプトの来年1~3月に輸出できるDAPはすでに予約されたようである。中国DAPのFOB価格も370~375ドル/トンとなり、昨年同期より70ドル/トン以上も上昇した。
 西半球では、ブラジルの粒状MAP価格が急上昇し、モロッコのOCP社から輸入されるMAPの価格が先週より10ドルも上がって、CFR400~405ドル/トンに上昇した。また、OCP社はEU向けの粒状MAP価格もFOB400ドル/トンに値上げした。

* 中国の化成肥料メーカー金正大の持ち株会社臨イ金正大投資有限公司が巨額負債のため、裁判所から民事再生の決定を受け、企業再生手続きに入った。12月11日臨沐裁判所は臨イ金正大投資有限公司が債務返済不能と負債が資産を超えたという理由で提出した破産再生申請を正式に許可した。
 金正大は1998年設立、2010年深セン株式市場に上場、中国国内に12の化成肥料の工場を有し、ドイツ、オランダ、スペインとイスラエルにも進出している。従業員約1万人、年間化成肥料生産能力710万トン、2019年肥料生産量394.5万トン、中国最大の肥料メーカーである。

* インドMMTC社の国際尿素入札を終え、130万トン近く尿素を契約したことに加え、ブラジルも11月までに記録的な量の尿素を輸入したため、尿素の国際市場が沈静化した。12月第2週の尿素価格が約10ドル/トン下落し、2021年1月の市況も平常に戻る見込みである。ただし、中国が例外で、政府の冬季大気環境汚染に対する規制の強化と天然ガス不足により、尿素の生産量が約2割も減少し、輸出価格が上昇して、FOB290ドル/トンに達した。

* 11月23日公表、12月1日開札されたインドMMTC社の尿素国際入札は、最終127.3万トンの輸入契約を決めた。そのうち9割が中東産で、中国からの尿素は10万トンと第3国から転売の5万トンしかない。

* ブラジルからの報道によれば、2020年11月までの11か月、尿素輸入量が過去最大の636万トンに達した。2019年の尿素輸入量559万トンであったが、2020年は700万トンになる見込みである。尿素輸入量急増の原因は国内生産量の減少にある。2020年1月ペトロブラスは唯一稼働しているParaná州Araucária尿素生産ライン(生産能力64万トン/年)を停止した。これによりペトロブラスの3つ尿素生産ラインがすべて閉鎖された。また、Fafen-BA、Bahia、Fafen-SE、Sergipeの尿素生産ラインも停止された。国内旺盛な窒素肥料需要を満たすため、輸入に依存するしかない。

* 中国りん酸化成肥料工業協会のデータによれば、2020年はコロナウイルス影響により、国内のリン安需要量が大幅に増加し、輸出量も増え、メーカーの生産意欲を促した。2020年のMAP生産量が12.2%増の824万トン、輸出量27.6%増の268万トン、DAP生産量が0.7%増の1040.46万トン、輸出量14.1%減の556万トンになる見込みである。また、2021年のMAP生産量が800万トン、DAP生産量1100万トンと予測される。

* ノルウェーのYara社はノルウェーで再生エネルギーを使って、2026年までに50万トンのグリーンアンモニアを生産し、水素経済を支援する計画を打ち出した。アンモニアの化学的性質により、簡単に水素に変換することができるうえ、極端な温度まで冷却する必要がなく、液体水素よりもエネルギー密度が高く、輸送と保管がより効率的に行うことができる。したがって、アンモニアが最も有望な水素運搬体であることはその理由である。

* デンマークのVestas社とHaldor Topsoe社、SkovgaardInves社の3社はパートナーシップを組み、2022年までに太陽光と風力発電で10MWの商業規模でグリーンアンモニアプラントを開発する計画を打ち出した。このプラントはデンマークのWestern Jutlandに設置し、既存の12MWのVestas風力タービンと50MWの新設ソーラーパネルから電解槽に電力を供給し、水素を生成させて、5000トン/年以上のアンモニアプラントに供し、化学肥料を生産する内容である。

 

2020年化学肥料ニュース