管理人より
このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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4月の国際化学肥料ニュース
* 4月30日、カタールの肥料メーカーQafco社は2026年第1四半期の肥料生産量が前年同期比で28%減の171万トンで、肥料部門の純利益は約1億3600万ドルで、前年同期比10%減となったことを発表した。同社は生産量減少の原因を地域紛争にあり、天然ガスの供給停止と認めている。Qafco社はMesaieed工業地帯にアンモニアプラント6基と尿素プラント6基があり、年間生産能力384万トンアンモニアと596万トン尿素である。カタールのエネルギー担当国務大臣は、イランからのミサイル攻撃によるRas Laffan工業都市の被害が年間約200億ドルの損失につながり、修復には最大5年かかると予想されることを述べた。
* 4月30日、エジプトの肥料メーカーNCIC社は5月積みの肥料販売入札を発表し、5月4日に締切りと開札である。今回の販売数量は、DAP3万トン、重過リン酸石灰1万トン、過リン酸石灰3万トン、尿素2.5万トン、硫酸加里1000トンである。
* 4月30日、中東カタールの国営QatarEnergy Marketing社は5月出荷分の硫黄価格を発表した。4月に比べて、170ドル高いFOB740ドル/トンに引き上げた。これは2013年に記録が始まって以来、カタール硫黄の最高価格であり、2022年8月に記録した490ドル/トンの最高値を250ドル/トン上回っている。カタールの硫黄生産量は、Ras Laffan液化天然ガス生産・輸出拠点などのインフラの損傷や貯蔵スペースの減少により、通常より大きく下回っている。価格の急騰は中東紛争勃発に伴う硫黄供給不足、ホルムズ海峡の実質的な閉鎖により硫黄輸送がほとんど止まっている状況により引き起こされた。
* オーストラリアのVictorian Hydrogen社はニュージーランド南部のInvercargill市に褐炭を原料として、年間最大生産能力150万トンの尿素工場を建設することを発表した。投資額約17億7000万ドル、2026年春季に予備的な地質学および水文学の調査を完了し、3年後の2029年に完成する計画である。ニュージーランドは国内尿素生産量約26.5万トンしかなく、毎年約50万トン尿素を輸入している。新工場の建設は国内需要を満たすだけではなく、隣国への輸出も視野に入れているという。
* オランダの投資銀行Rabobankの研究部署RaboResearch Food & Agribusinessが公開した最新のレポートによれば、2026年ブラジルの化学肥料需要量4720万トン、2025年の供給量が4910万トンだが、そのうち約90%が輸入に依存している。2026年2月から始まったイランへの軍事行動により、輸入肥料価格が急騰し、ブラジル農家はトウモロコシではなく、肥料需要量の少ない大豆を栽培するほか、栽培面積を減らすことも予測される。2026 年の世界化学肥料供給量が2022年よりさらに悪く状態に陥り、世界の作物生産と食糧価格に悪影響を及ぼすことが確実となる。
* インド政府の肥料メーカーと商社が共同で肥料や原材料を購入するよう呼びかけに応じ、4月28日、インドの国営RCF社はリン鉱石および/またはDAP、MAP塩化加里の購入入札を発表した。予定される購買数量は35%P2O5のりん鉱石3.5万トン、DAPまたはMAP 2ロット計2万トン、塩化加里5万トンである。入札は5月9日締め切りと開札、30日以内に積込出港という条件である。
* エジプトの肥料メーカーのNCIC社は4月27日に尿素と過リン酸石灰の再入札の結果を発表した。1万トン大粒尿素はFOB852ドル/トンで、2万トン粒状過リン酸石灰はFOB340~375ドル/トンで販売することになる。4月20日の入札には3000トン尿素がFOB830ドル/トンで売却された。
* アメリカの上院議員Roger Marshall (共和党・カンザス州)は、肥料価格の高騰を受けて、モロッコ産リン鉱石の輸入に対する相殺関税を撤廃する法案を提出する予定である。4月28日、Marshall氏はアメリカ農務省(USDA)およびホワイトハウス閣僚と共にこの法案の計画をほのめかし、生産者へのコスト圧力緩和の一環として示した。モロッコ産りん鉱石の相殺関税が廃止されれば、リン酸塩肥料の価格は20%以上、1ショートトンあたり150ドルが下がるとMarshall氏は述べている。
* 4月6日、トルコ政府は4月7日から9月末までに硫黄の輸出を禁止することを発表した。中東情勢により、中東湾岸地域の硫黄輸出が阻害され、トルコ国内硫黄価格が急騰し、国内需要に支障が来すことになった。2025年トルコが22.65万トン硫黄を輸出して、主な輸出先はエジプト、タンザニア、ギリシャとレバノンである。
* 4月24日、インド政府肥料省は各国内肥料会社に対して、会社単独ではなく、グループを組み、共同で肥料や原材料を購入するよう推奨する。同省は、DAP、MOP、NPS/NPKなどの主要肥料の輸入ソース確保と競争力のある輸入価格を獲得するために、インドの肥料生産者が3か月間の期間にコンソーシアムを結成しすべきだと呼びかけている。さらにこの共同購入行動はアンモニア、硫黄、リン酸、硫酸などの原材料の輸入にも広めるべきだと呼びかけている。
この呼びかけに対応して、インド国営の肥料生産者兼輸入業者であるIPL社は4月24日に業界を代表して、120万トンDAPと40万トン粒状重過リン酸石灰(TSP)の国際入札を発表した。5月4日に締切りと開札。IPL社は主要なリン酸塩および加里肥料の企業を代表して、肥料輸入のコンソーシアム方式の一環として入札を行っていると述べた。
* 中国側はロシアの加里メーカーUralkali社との間に5月の国境加里貿易協定を締結した。5月の標準白塩化加里結晶のCFR中国満州里市の価格は372ドル/トン、赤粒塩化加里のCFR中国満州里市の価格は375ドル/トンで、4月の価格より8ドル高くなる。中国は国境貿易の形でロシアから年間約200~250万トン塩化加里を輸入する。
* 4月14日、カナダの加里輸出商社Canpotex社は6月30日までの上半期に加里肥料販売量が完全に売り切り、受注を停止することを発表した。これは、堅実な農業基盤、そして主要なオフショア市場における食料安全保障への継続的な注力に支えられ、加里に対する強い需要が続いているためだと説明した。2025年第1四半期からCanpotex社は6四半期連続でこのような声明を発表した。
* イギリスのATOME PLC社は南米パラグアイのVilletaにグリーン水素を使って、低炭素肥料を生産する工場を建設することを決定した。2026年上半期着工、2029年10月まで完成・稼働する。年間生産能力26万トン窒素肥料、年間50万トンのCO2排出量を削減する計画である。総投資額6億6500万ドル、ほとんど米州開発銀行グループ、国際金融公社、欧州投資銀行、オランダ起業家開発銀行などの融資に依存する。
* エジプトの肥料メーカーNCIC社は4月20日に締切った4月積み肥料の販売入札結果を発表した。2万トンDAPを880ドル/トンで販売し、前回4月4日より40ドル高くなる。1万トン重過リン酸石灰を695ドル/トンで販売し、前回3月4日より77ドル高くなる。3000トン尿素を830ドル/トンで販売し、前回3月4日より176ドル高くなる。5000トンCAN(硝酸カルシウム・アンモニウム)を412ドル/トンで販売し、前回3月4日より60ドル高くなる。1000トン硫酸加里を705ドル/トンで販売し、前回3月15日より75ドル高くなる。7000トン尿素と1.5万トン過リン酸石灰については応札者がない。
NCIC社は売り残されている7000トン尿素と1.5万トン過リン酸石灰について再度入札を行い、4月27日に締切りと開札を宣告した。
* 4月22日、ロシア政府は5月31日に期限切れの化学肥料輸出規制措置を6か月延長して、6月1日から11月30日までに尿素870万トン、硝安420万トン、NPK化成肥料700万トンの計1990万トンの輸出割当数量枠を設定すると発表した。5月31日までの今期1870万トンより120万トン増加する。なお、塩化加里はこの輸出割当数量枠に入らず、自由に輸出できる。
ロシアは中国に次ぐ世界第2位の化学肥料生産大国で、最大の化学肥料輸出国でもある。ロシアの化学肥料輸出量は世界の化学肥料貿易に約20%のシェアを占める。
* ホルムズ海峡の封鎖による天然ガス不足の影響を受け、バングラデシュ唯一のDAPメーカーDAPFCL社は稼働が停止したと発表した。DAPFCL社は国営BCIC社の子会社で、2本の生産ラインを有し、生産能力800トン/日、2006年からDAPの生産が開始した。稼働停止の原因は天然ガス不足によりアンモニアの生産ができないことである。天然ガス不足で、バングラデシュ国内5か所の尿素工場中、すでに4か所の尿素工場が稼働停止した。
* 中東UAEの窒素肥料メーカーFertiglobe社のCEO Ahmed El-Hoshy氏はインタビューで、中東の軍事行動により窒素肥料価格が急騰し、4月中旬現在がほぼ2倍となったと述べた。また、3月中東湾岸地域の尿素輸出量が平時の約170万トンから30万トンに急減し、それも全量ホルムズ海峡を経由しないオマーン産のものであると指摘した。Fertiglobe社は尿素を陸路でオマーンに輸送し、オマーンの港から輸出する方法を考えている。
* 中東情勢による化学肥料供給不足を対応するために、アメリカはG20のメンバー国およびFAO(国連食糧農業機関)に、肥料のグローバルサプライチェーンの応急保障システムを構築するよう呼びかけている。主な目的は化学肥料輸出国の増産と輸出ルートの再構築、多国間共同備蓄と配分メカニズム制度の確立などである。すでに一部の肥料生産国は供給量を増やすために増産と備蓄の放出を承諾して、国連もホルムズ海峡に化学肥料と食糧などの輸送ができるよう人道的な通路を開放するよう関係諸国にアプローチしている。
* 中国税関の速報によれば、3月の中国化学肥料輸出量が25%増の310万トン、そのうちは硫安が14.9%増の171.2万トン、尿素が3277.8%増の5.9万トン、MAPが2400%増の2.4万トン。DAPの輸出割当数量が消化されたので、その輸出量が0である。
一方、3月の中国化学肥料輸入量が26.3%増の168万トン、そのうち塩化加里が22.5%増の151.9万トン、NPK化成肥料が240%増の12万トン。
* インドIPL社は4月15日開札された尿素国際入札において、CFR西海岸935ドル/トンで170万トン弱、CFR東海岸959ドル/トンで110万トンの計280万トン驚異的な量の尿素を確保した模様。これは過去5年間インドの尿素国際入札に最大の契約数量である。ロシアは今回の入札に於いて推定では80万トン以上が契約され、最大の供給国となる見込みだ。ナイジェリア、エジプト、アルジェリアも多量の契約を獲得した。また、東南アジアやオマーンからも大量の供給が見込まれている。中国尿素の応札がない。
* アンゴラのCabindaりん酸肥料工場の第1期建設が計画通り、間もなく完成し、プラント試運転の段階に入る。また、第2期の建設に関する契約交渉の最終段階にも入っている。Cabindaりん酸肥料プロジェクトはオーストラリアのMinbos Resources社が開発しているもので、第1期は2026年に稼働し、年間15万トンりん酸肥料を生産する計画である。第2期は計画中だが、完成すれば、全体年間45万トンりん酸肥料生産することになる。
* カナダのMillennial Potash社はオーストラリアのEquatorial Potash社の10%株式を追加取得し、持ち株が80%に達し、アフリカのガボンにあるBanio Potashプロジェクトの権利を入手した。Equatorial Potash社はガボン子会社のMayumba Potasse社を通じて、同プロジェクトの株式を100%保有している。
ガボンのBanio PotashプロジェクトはすでにKCl品位15.7%の加里資源量6億4820万トンが確定され、推定資源量(KCl品位15.6%)が35億6000万トンである。2027年初頭までに採掘権を申請する予定である。
* 中東情勢の影響を受け、4月15日に締切りと開札されたインドIPL社の尿素国際入札の最低応札価格はMillennium commodity社のCFR西海岸936ドル/トン、Ameropa社およびChase Max社のCFR東海岸959ドルトンである。前回2月18日開札されたインドRCF社の尿素国際入札に比べて、最低応札価格が427~447ドルも高くなっている。なお、全体の応札数量は592万トン、そのうち最低応札価格の合計数量は43.9万トンである。
応札の尿素はロシアなど旧ソ連諸国、ナイジェリア、北アフリカ、東南アジア、オマーン産のものである。中東湾岸地域ではオマーンだけが応札している。中国尿素は輸出が規制されているため、全く応札されていない。
* 4月16日、インドIPL社は尿素国際入札の応札結果を受け、複数の応札者に逆提案を行った。通常の慣行に従い、西海岸に対する最低価格の入札上位10社計169万トン、東海岸に対する最低価格の入札上位5社計111万トンに提示した対案は、CFR西海岸935ドル/トン、CFR東海岸959ドル/トンという最低応札価格に沿ったものとなっている。入札者は、4月17日インド標準時午後2時までに上記の価格でIPLへの発注量を確定する必要がある。
* 4月16日、インドの肥料生産者兼輸入業者であるNFL社は、DAP、重過リン酸石灰、NPS化成肥料、NPK化成肥料の供給に関して長期オフテイク契約を締結する供給者を募集することを発表した。NFL社はDAP(18-46)、NPS(20-20-0+13S)、NPK(12-32-16と10-26-26)を要望して、署名日から1年間有効のオフテイク契約である。契約に基づく貨物はCFRインドベースで価格が設定される。今回応募の締め切りは5月7日である。
* 4月15日、エジプトの肥料メーカーNCIC社は4月積みの各種肥料の販売に向けて2回目の入札を発表した。入札の肥料はDAP2万トン、重過リン酸石灰1万トン、過リン酸石灰1.5万トン、尿素1万トン、硝酸カルシウム5000トン、硫酸加里1000トンである。今回の入札は4月20日に締切りと開札する。
前回入札では、DAPの4月4日入札で840ドル/トン、重過リン酸石灰の3月4日入札で618ドル/トン、過リン酸石灰の4月4日入札で375ドル/トン、尿素の3月4日入札で654ドル/トン、硝酸カルシウム3月4日の入札で352ドル/トン、硫酸加里の3月15日入札で620~630ドル/トンでそれぞれ販売された。
* 4月12~15日、タイの農業と協同組合省大臣はロシアを訪問し、ロシア副総理と農業省副長官と会談した結果、タイが毎年ロシアから最多200万トン尿素を輸入することで合意した。その合意内容はタイが毎年ロシアから100~200万トン大粒尿素を購入し、タイ農業省は5月に常任秘書官をロシアに派遣し、尿素輸入の詳細を協議する。ロシアは3か月以内に尿素の輸出に関する事項を解決し、輸出をスタートする。
* オーストラリアのアルバネーゼ首相は、中東情勢による前例のない肥料供給とコスト圧力を受け、次の栽培シーズンの肥料供給を確保するために、4月14日から17日にかけて東南アジアのブルネイとマレーシアを訪れ、尿素供給の協力を求める。
東南アジアのマレーシア、インドネシア、ブルネイ、ベトナムの4ヶ国は年間約500万トンの尿素を輸出している。オーストラリアの尿素輸入は通常3月から6月にピークを迎えるが、約60%の尿素が中東産で、ホルムズ海峡を通じて輸入している。ホルムズ海峡が事実上閉鎖されており、尿素の輸入が制限されている。ABSのデータによると、2025年のオーストラリアの尿素輸入量の32%が東南アジア産のもので、その11%がブルネイ、10%がマレーシア、残りの11%がインドネシアから輸入されている。
* アメリカのMosic社は南アジア(多分インド)にFOB840ドル/トンで約4万ドンDAPを販売し、6月上旬に出荷すると報告する。海運賃を加えて、CFR価格が900~910ドル/トンになる。なお、4月中旬現在のCFRインド価格は865ドル/トンである。
Mosic社は2026年1~3月に計20.1万トンDAPとMAPを輸出して、前年同期より8.6万トン増加した。
* 4月10日、中国の加里メーカー文通加里集団は山西昕益社との合弁で山西省霊石県に年間30万トン硫酸加里工場の建設が着工される。当該工場は逆浮遊選鉱法を使用して鹹水から硫酸加里を生産する。総投資額4.9億人民元(約7000万ドル)。
* インドのIndorama社はエジプトに大規模リン酸肥料および化学品の複合施設を建設する契約を締結し、第1期の投資額は5億2,500万ドルであると発表した。この「Indorama Egypt Fertilizers」と呼ばれるプロジェクトは、スエズ運河経済区内のAin Sokhna工業団地に建設し、第1期では年間最大60万トンりん酸肥料を生産し、製品の約80%がインドに輸出される計画である。
* 4月11日、アメリカのトラン米大統領はアメリカの肥料会社に対し、イランへの軍事行動が世界の肥料サプライチェーンに影響を与える中で、「独占」の権力を使って、国内の肥料価格を過度に引き上げることに対して警告を発した。トランプ大統領は自身のTruth Socialプラットフォームで、アメリカの「イランにおける自由のための闘い」期間中に、「肥料価格を注意深く注視している」と述べ、「肥料独占による価格のつり上げを容認しない」と付け加えた。
ルイジアナ州ニューオーリンズ(Nola)のDAPおよびMAP価格は4月第1週にFOB 770ドル/ショートトンで取引され、2022年9月以来の最高値となった。尿素のFOB価値も692ドル/ショートトンに上昇し、前年同期の405ドル/ショートトンより約290ドル高くなり、2022年9月以来の最高水準となった。
トランプ大統領の発言は、イランへの軍事行動をめぐる政治的論争における肥料の重要性の高まりと、アメリカ農家が春の栽培シーズンを始める中で政権への政治的懸念が高まっていることを浮き彫りにしている。
アメリカ農務省(USDA)は2025年9月から司法省と協力し、種子と肥料の価格上昇について調査を進めている。Nutrien社、Mosaic社、CF Industries社、Koch社、Yara社などの主要肥料生産者の窒素、リン酸塩、加里市場への支配度も調査の焦点に含まれている。
* 最近、アメリカ国内肥料価格の急騰を受け、60以上のアメリカ生産者団体が商務省に書簡を送った。この書簡の中に、モロッコおよびロシアのリン酸肥料に対する相殺関税(CVD)が供給を制限し、すでに世界的な混乱が深刻な時期に肥料の手頃な価格を悪化させると主張し、肥料価格を下げるために相殺関税の廃止を求める。また、民主党上院議員らは3月下旬にアメリカ農務省に送った書簡の中に、イランへの軍事行動によって急激に上昇した施肥コストの削減に向けた措置を求めている。
ただし、アメリカの肥料生産者Mosaic社とSimplot社は、商務省に対して、モロッコおよびロシアのリン酸肥料に対する相殺関税を取り消すべきではないと伝えている。
* イギリスの調査会社Argus Mediaによれば、2月28日イランへの軍事行動以来、インド、イラン、バングラデシュ、カタール、ロシアで大規模な生産停止が発生している。この40日間に控えめに見積もっても少なくとも230万トンの尿素生産量が削減されていると推定している。カタールのQatar Energy社は天然ガス施設がイラン側からの攻撃で稼働が停止したことを受け、世界最大の尿素工場も稼働停止となった。また、インドもカタールからの天然ガス供給中断で、アンモニア生産に必要な天然ガス不足で、約80万トン尿素/月の減産である。バングラデシュも天然ガス不足で、全国5か所の尿素工場中4か所がすでに稼働停止となった。
また、Kplerのデータによれば、4月8日現在、約100万トンの尿素を積んでいるまたは積む予定の船がペルシャ湾に滞留している。国連食糧農業機関(FAO)の専門家は開戦以降、すでに300~400万トン化学肥料の国際貿易が妨害されると指摘している。
* インドのCIL社はヨルダンのJPMC社から輸入した粗りん酸の2026年第2四半期価格をCFR1360ドル/トンで合意したことを発表した。第1四半期のCFR1290ドル/トンより70ドル高くなった。粗りん酸はDAPまたは化成肥料の原料として使われるもので、イランへの軍事行動による硫黄価格急騰を受け、価格が上昇した。また、4月インドに供給されるアンモニアのCFR価格は、1月中旬よりほぼ41%上昇している。
* トルコ政府は4月7日から硫黄輸出を一時禁止することを発表した。硫黄の輸出規制は4月6日に政府によって承認され、2026年の第2四半期および第3四半期に限定的ケースを除き適用される。輸出禁止措置の発効は中東の紛争により供給不足で、硫黄価格が35〜40%急騰したという理由である。Global Trade Atlasのデータによれば、トルコは2025年に約226,500トンの硫黄を輸出して、主にエジプト、タンザニア、ギリシャ、レバノンに向けられている。
* インドネシア政府は、3月31日~ 4月2日パリ島で開催されるArgus Asia肥料会議に国内の需要を完全に満足する前提で、東南アジアに150万トン化学肥料を提供する用意があると発表した。インドネシアの化学肥料生産能力約1450万トン、世界7番目の化学肥料生産大国で、年間150~200万トン尿素を輸出している。
* モロッコのOCP社は複数の肥料工場での定期メンテナンスを前倒し行うことを発表した。一部の肥料工場が来週からメンテナンスに入る。同社の発表によれば、メンテナンスにより第2四半期の生産能力が最大30%減産される。OCP社はこの決定の理由を明かしていないが、ホルムズ海峡の実質的な閉鎖に伴うリン酸肥料生産に必要な重要な原料である硫黄とアンモニアの供給不足が主な要因となる可能性が高い。昨年モロッコが輸入した硫黄の52%は中東からの供給であった。なお、モロッコは昨年440万トン DAP、271万トン MAP、298万トン重過リン酸石灰( TSP)を輸出した。
* 4月4日、インドIPL社は新の尿素国際入札を発表した。購買数量は西海岸向け150万トン、東海岸向け100万トンの計250万トン、4月15日締切りと開札、6月14日船積み出港という条件である。
* エジプトの肥料メーカーNCICは、4月4日開札された肥料販売入札に於いて、最新の販売価格を発表した。1万トンDAPはFOB780ドル/トンで3社に販売、2.5万トン過リン酸石灰はFOB375ドル/トンでオーストラリアに販売された。それぞれ前回3月4日と3月15日の販売価格より50ドル高くなった。
* 4月6日、マレーシアの国営ペトロナス社は、所有のBintulu工場の尿素プラントが停電により緊急稼働停止されたことを発表した。稼働停止により、1日約2,000トンの尿素が減産される。ただし、発電所は今週末か来週初めまでに再稼働する見込みである。ペトロナスは4月から5月にかけてBintulu工場で45日間の定期メンテナンスを計画していたが、予期せぬ稼働停止によりメンテナンスが遅れる可能性がある。
* インド政府は中東情勢を受け、4月から9月までのカリフシーズン(季節風シーズン)の期間中に窒素肥料とりん酸の補助金を10%増額し、加里肥料の補助金を現状維持すると決定した。政府は今年のカリフシーズンの肥料補助金暫定予算を4150億ルピー(約45億ドル)に設定し、前年同期より430億ルピー増加する。
* 4月8日、アメリカのMosic社はブラジル南東部ミナスジェライス州にある年間生産能力(P2O5換算)24万3,000トンのAraxa 過リン酸石灰工場を閉鎖し、売却することを発表した。同時にミナスジェライス州にある年間りん鉱石採掘量130万トンのPatrocinioりん鉱山での採掘活動も休止する。これによりMosic社のブラジルにおける過リン酸石灰生産量が100万トン/年減少する。昨年12月、Mosic社はすでにパラナ州南部にあるFospar過リン酸石灰工場の生産を停止した。ブラジルの過リン酸石灰生産設備を閉鎖する原因の一つは硫黄価格の高騰で、採算が取れないことといわれる。昨年12月、硫黄のCFRブラジル価格が540~550ドル/トンであったが、2025年4月第1週のCFR価格が720~730ドル/トンに急騰した。
* ベルギーのTessenderlo社の子会社Tessenderlo Kerley社は今年1月に破産申請をしたスウェーデンの硫酸加里メーカーCinis Fertilizer社を買収することを発表した。この買収により、Tessenderlo Kerley社、ÖrnsköldsvikにあるCinisの年間10万トン硫酸加里プラントを取得する。第2四半期中に買収が終了する予定で、買収金額が公表されていない。
* 4月1日、インドネシアのパリ島に開催されているArgus Asia肥料会議に於いて、インドネシアの国営肥料生産会社Pupuk Indonesia、マレーシアの国営肥料生産会社Petronasおよびブルネイの肥料生産会社Brunei Fertilizer Industries (BFI)は、東南アジア肥料協会の設立を発表した。
東南アジア協会は、正式な業界団体として地域の肥料関連課題に取り組み、市場や政策の動向についてより統一された提案をすることを目指している。また、地域全体での肥料供給の確保と、アジア太平洋地域を含むより安定した肥料市場環境の支援にも注力するという。
* 4月1日、オランダのOCI Global社は所有していたOCI Ammonia Holding 社の100%株式を欧州の重要な窒素製品メーカーであるチェコのAGROFERT社に売却したと発表した。OCI Ammonia Holding 社はオランダのロッテルダム港にアンモニア輸入・貯蔵ターミナルのOCIターミナル・ユーロポートとOCIアンモニア流通B.V.を所有して、欧州最重要な輸入アンモニアを取り扱う施設である。今回の売却金額は2億9,000万ユーロとされている。
* 4月2日、インド財務省はNotificationNo.12/2026-Customsを発表し、化学原料の確保、工業製品のコスト軽減および価格安定のために、即日から6月30日までの間に40種類の石油化学原料、プラスチックおよび工業原料に基礎輸入関税(BCD)および農業基礎施設開発付加税(AIDC)を徴収しないことを決定した。今回の輸入免税品目はアンモニア、硝酸、尿素、硝安も含まれている。ただし、アンチダンピング関税やセーフガードによる臨時関税は免除せず、継続することになる。
* 4月3日、アメリカのホワイトハウスが発表した2027会計年度の予算で、アメリカ農務省(USDA)の裁量資金が前会計年度より49億ドル減の208億ドルとなり、19%削減される。ホワイトハウスはUSDAを「肥大化したワシントンD.C.の官僚機構」と指摘し、「核心的な使命に沿わない」プログラムへの資金提供を廃止したいと強調した。
予算はUSDAの再編を要求し、多くの職員をワシントンD.C.から全国の小規模拠点へ移ることを要求する。また、有機栽培を促進するナショナルオーガニックプログラム(NOP)の経費を6100万ドル削減し、国立食品農業研究所(NIFA)の有機転換研究・教育・普及プログラムへの裁量的支出を廃止することにより、公的助成金を5億1,000万ドル削減する。代わりに保健福祉省(HHS)内に新たな「健康なアメリカのための行政(AHA)」を設立することを提案し、食品に「危険な化学物質」を除去する研究開発を支援する。また、アメリカの農場や加工施設の労働力不足問題を解決ために、教育省に短期労働力教育プログラムの見習い制度の拡張や助成金の増加を求める。

