管理人より
このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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5月の国際化学肥料ニュース
* 5月第2週(6~12日)の尿素国際相場は小幅の下落が続いている。この週にはナイジェリアDangote社がFOB270ドル/トンでEUに3万トン尿素、中東もFOB268~275ドル/トンでオーストラリに輸出している。中国尿素の輸出がまだ厳しく規制されているため、マレーシアとインドネシア産尿素がやや高値を維持されている。インドネシアPupuk社は2回行った小粒尿素の販売入札にはFOB306~312ドル/トンの価格で契約した。ただし、インドと南米の需要が不足のため、北アフリカ産大粒尿素のFOB価格がすでに280ドル/トン台に下がった。
* 中国税関の通関データによれば、2024年第1四半期の化学肥料輸出先を判明した。
1. 尿素: 1~3月輸出量が92.3%減の2.57万トン、主な輸出先は、
国名 数量(トン) 輸出量に占める割合 金額(ドル)
韓国 13,050 50.8% 4,798,000
マレーシア 7,325 28.5% 3,128,770
香港 4,948 19.3% 1,044,187
その他 347 1.4% 133,562
合計 25,670 100.0% 9,104,519
2. 硫安: 1~3月輸出量が10.7%増の309.74万トン、主な輸出先は、
国名 数量(トン) 輸出量に占める割合 金額(ドル)
ブラジル 553,201 17.9% 84,016,940
ミャンマー 371,306 12.0% 67,476,632
ベトナム 312,860 10.1% 39,258,350
インドネシア 224,851 7.3% 29,953,462
グアテマラ 185,194 6.0% 23,974,644
マレーシア 170,206 5.5% 19,728,744
タイ 169,258 5.5% 23,620,251
ナイジェリア 138,049 4.5% 21,496,867
メキシコ 131,312 4.2% 19,414,026
その他 841,199 27.2% 127,710,921
合計 3,097,436 100.0% 456,650,837
3. MAP: 1~3月MAP輸出量が81.3%減の9.96万トン、主な輸出先は、
国名 数量(トン 輸出量に占める割合 金額(ドル)
オーストラリ 55,549 55.7% 30,480,908
チリ 12,140 12.2% 6,004,144
インドネシア 4,133 4.1% 2,323,666
マレーシア 3,881 3.9% 2,075,247
ブラジル 3,123 3.1% 2,292,993
インド 2,944 3.0% 2,325,978
メキシコ 2,381 2.4% 1,780,679
南アフリカ 1,532 1.5% 1,206,395
イタリア 1,350 1.4% 1,177,334
その他 12,609 12.7% 9,730,546
合計 99,642 100.0% 59,397,890
4. DAP: 1~3月DAP輸出量が77.7%減の14.15万トン、主な輸出先は、
国名 数量(トン) 輸出量に占める割合 金額(ドル)
インド 44,334 31.4% 25,682,307
タイ 36,393 25.7% 20,495,030
日本 27,660 19.5% 16,494,385
北朝鮮 15,130 10.7% 9,669,812
ベトナム 14,300 10.1% 8,502,090
その他 3,611 2.6% 2,275,729
合計 141,528 100.0% 83,119,353
5. NPK化成肥料: 1~3月NPK化成肥料輸出量が59.1%減の5.67万トン、主な輸出先は、
国名 数量(トン) 輸出量に占める割合 金額(ドル)
ミャンマー 33,599 59.2% 12,295,555
フィリピン 8,040 14.2% 2,819,996
マレーシア 7,562 13.3% 2,757,031
ラオス 4,124 7.3% 1,963,269
オーストラリ 1,153 2.0% 693,687
その他 2,271 4.0% 1,232,755
合計 56,749 100.0% 21,762,293
* アメリカ商務省はモロッコから輸入されるりん安が不当競争と判断されたことに関連して、2024年11月からモロッコ産りん安のダンピング関税を2.12%から14.21%に引き上げることを発表した。これに対して、全米トウモロコシ栽培者協会(NCGA)はダンピング関税の引き上げがトウモロコシや大豆などの栽培に必要なりん安肥料の価格高騰につながるという反対の意見を提出した。
* 4月28日、ロシア政府の公式ホームページに化学肥料輸出数量割当制度の延長を2024年11月30日までに延長する通告が掲載された。6月1日から11月30日までの6月間の化学肥料輸出割当数量1970万トン、そのうち窒素肥料1240万トン、化成肥料730万トンと決められている。なお、加里肥料の輸出には割当数量の規制がない。現在執行している2023年12月1日から2024年5月31日までの期間中に化学肥料輸出割当数量は1690万トンである。
* カナダのNutrien社は2024年第1四半期の業績を発表した。化学肥料販売量は加里肥料が29.5%増の341.3万トン、窒素肥料が6.4%増の250.7万トン、りん酸肥料が13.1%増の62万トンと前年同期より増えたが、販売価格の下落で、売上高が12%減の53億8900万ドル、EBITDAが26%減の10億5500万ドル、純利益が71.4%減の1億6500万ドル。
* アメリカのMosaic社は2024年第1四半期の業績を発表した。化学肥料販売量は加里肥料が16%増の220万トン、りん酸肥料が11%減の160万トン、化成肥料が19%減の170万トン、販売量の減少と販売価格の下落で、売上高が26%減の27億ドル、EBITDAが26%減の5億7600万ドル、純利益が90%減の4500万ドルしかない。
* アメリカのCF Industries社は2024年第1四半期の業績を発表した。アンモニア生産量が9%減の215万トン、尿素生産量が20.8%減の96万トン、販売量が17.5%減の109万トン、UAN(尿素硝安液肥)生産量が2.1%増の163万トン、販売量が3.1%減の161万トン、硝安生産量が12.1%減の34万トン、販売量が4.3%増の39万トン。販売量の減少と販売価格の下落で、売上高が17%減の14億7000万ドル、EBITDAが47%減の4億5900万ドル、純利益が65.4%減の1億9400万ドル。
* スウェーデンのCinis Fertilizer社はÖrnsköldsvik市に建設している硫酸加里工場が完成し、稼働し始めたことを発表した。当該工場は2023年2月から着工、2024年4月末に完成、5月から稼働し始めた。塩化加里を原料として、マンハイム法を使って、年間10万トン硫酸加里を生産する。
* カナダ国営鉄道(CN)とカナダ太平洋鉄道(CP)の労働者約9000人は投票でストライキを行うことに賛成した。このカナダ史上最大規模のストライキは5月22日から行い、鉄道の運行がほとんど停止する見通しである。ストライキにより、カナダ産塩化加里の輸出に大きく影響を及ぼす可能性がある。