管理人より

 このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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12月の国際化学肥料ニュース

* 12月31日、カナダAgrium社は傘下のVanscoy加里鉱山を再稼働させたと発表した。2014年7月、Vanscoy加里鉱山の鉱石輸送装置の故障で、地下に採掘された加里鉱石を地上に運ばなくなって、鉱山の生産を停止した。その後、設備の更新と生産拡大に伴う新設設備の完成で、生産再開となった。
 Agrium社はVanscoy加里鉱山の2015年に210万トン塩化加里を生産する計画で、今回の設備更新と新設により2015~2017年の3年間に約100万トン塩化加里が増産される見通しとなる。

* 12月24日、国営インドRashtriya Chemicals & Fertilizer Ltd.(RCF)はインドの天然ガスメーカーGail社、国営インド石炭社(CIL)、インド肥料社の4社が合弁でインド南東部のオリッサ州Talcherに肥料工場を建設することに合意したと発表した。
 当該肥料工場は2部分から構成され、Gail社が石炭のス化とガスを浄化してアンモニア原料として供給する子会社を担当し、投資額約4.73億ドル。RCFがアンモニア合成、尿素と硝安生産の子会社を担当し、投資額約9.5億ドルと予定されている。

* エジプトの尿素メーカーは原料天然ガスの不足により順番に生産を停止した。Mopco社は12月21日から4日間、Alexfert社は12月22日から月末まで生産を停止した。EFC社は1本の生産ラインを停止し、残りの1本しか稼働していない。Helwan社は12月2週目から生産停止したが、19日から生産再開した。12月の工場稼働率がさがり、尿素生産量が半減する予定で、来年1月の尿素輸出量が大幅に減少する見通しである。

* ヨルダン国営JPMC社はインドネシアに地元の国営企業と合弁でりん酸肥料工場を建設することを発表した。それぞれ50%ずつ出資して、生産能力は年間20万トンりん酸肥料と予定している。

* インドIFFCO社とLa Coop社はカナダのケベック州に尿素工場を建設する計画を中止すると発表した。当該尿素工場に11億ドルを投資して、年間大粒尿素の生産能力130~160万トンと予定された。しかし、精算した結果、投資額が20億ドルに膨らみ上がって、採算ラインを超えたため、中止することになった。但し、ケベックが天然ガスと輸送の面に優勢があり、建設計画と設計を練り直して、再度提出する可能性がある。

* ブラジル国営石油は建設中の尿素工場の施工を一時休止すると発表した。当該尿素工場はブラジル国営石油が中国の国営企業中国石油と合弁で建設するもので、生産能力がアンモニア76.1万トン/年、尿素120万トン/年、2015年6月完成予定である。但し、すでに8割以上が完成して、そのまま中止する訳がなく、来年春~夏あたりに建設を再開するだろうと見ている。

* 12月16日、中国政府が2015年輸入輸出関税の改定を発表した。化学肥料に関しては、需要期と非需要期に分けて異なる輸出関税を撤廃し、年間1本化する。また、尿素とりん安の輸出関税を従価制から従量制に変え、尿素輸出関税を80人民元/トン、りん安輸出関税を100人民元/トンにする。NPK化成肥料の輸出関税が30%のままであるが、NP化成、PK化成など2成分の化成肥料輸出関税を5%に引き下げる。
 中国の化学肥料輸出関税の詳細は「2015年中国商品輸出関税税率表」および「中国2015年化学肥料の輸出関税税率表」をご参考ください。

  • <資料>2015年中国商品輸出関税税率表(中国語)
  • <資料>中国2015年の化学肥料輸出関税税率表
  •  また、2012~2015年の中国化学肥料輸出関税の変動は下記の資料をご参考ください。

  • <資料>2012~2015年の中国化学肥料輸出関税の変化
  • * 中国政府は2015年にすべての化学肥料に対して増値税の徴収を再開する予定である。化学肥料増値税の税率が13%で、徴収再開は2015年4月以降の適宜な時期と予定されている。

    * ロイター通信社の報道によれば、カザフスタン政府投資発展省長官Aset Isekeshev氏は中国から38億ドルの投資を受け入れ、2ヶ所の加里鉱山と加里肥料工場を建設すると発表した。これは中国とカザフスタンの両国総理が会談で決めた140億投資計画の一部である。
     Zhiyanskoye加里鉱山は年間生産能力塩化加里60万トン、硫酸加里120万トン、2015~2016年に完成する予定。Chekkarskaya加里鉱山の建設規模が未定である。この2ヶ所の加里肥料工場が完成後、生産される加里肥料は主に中国や東南アジアに輸出する予定である。

    * ロシアUralkali社は、所有のSolikamsk2号加里鉱山の逆流被害はまだ制御されていないと発表した。地下採掘トンネルの落盤範囲は11月18日発見されてから12月10日現在にすでに50~80mに拡大し、そこから1時間当たり約700m3の鹹水がトンネルに逆流される。鹹水の逆流を止めるにはまだ時間がかかりそうである。もし、鹹水の逆流量が制御できず、ポンプの排水能力を大きく超えた場合は、当該鉱山を永久に閉鎖する可能性も排除できない。
     この鉱山事故により、Uralkali社は2015年塩化加里生産量を予定の1300万トンから1100万トンに下方修正して、輸出に一定の影響を及ぼす。

    * ベラルーシ政府の財務省長官が12月2日の記者会見に於いて、2015年に加里肥料の輸出関税徴収制度を再開しないことを表明した。ベラルーシは2008年から加里肥料の輸出に対して輸出関税を徴収した。2008年は200ユーロ/トンの関税を徴収したが、2009年9月1日から75ユーロ(FTA協定国)と85ユーロ(その他の国)/トンに減額、2013年7月1日、ロシアのUralkaliがBCPから脱退した後、加里肥料の輸出競争力を維持するため、輸出関税を免除した。

    * ベトナム税関のデータによれば、今年1~11月、ベトナムが358万トン、金額約118億ドルの化学肥料を輸入した。中国からの輸入が最も多く、数量で51.7%であった。
     また、ベトナム政府の副総理が国内化学肥料の生産拡大、特に加里肥料とDAPの生産拡大に力を入れて、肥料生産と流通コストを下げ、農業の需要を満たすように指示した。

    * 12月1日、ノルウェーのYara社はGalvani社の60%株式の取得を完了し、子会社として傘下に収めた。買収金額3.18億ドル。
     Galvani社はブラジル東北部にりん鉱山2ヶ所(Lagamar鉱山とAngico dos Dias鉱山)と過りん酸石灰工場、販売組織を持ち、2013年の売上高3.52億ドル、純利益4800万ドル。また、Salitreりん鉱山とSanta Quiteriaりん鉱山を開発中で、完成後、Salitre鉱山が120万トン/年、Santa Quiteria鉱山が80万トン/年のりん鉱石を産出し、りん酸肥料に生産に供する予定である。

    * アメリカ肥料研究所(TFI)の統計データによれば、アメリカ10月のりん安(DAP、MAP)輸出量が17.8万トンに達し、前年同期より36%急増した。輸出量急増の原因はインド向けに7.5万トンを輸出した。なお、1~10月のりん安輸出量が9%減の190万トンであった。
     一方、10月のりん酸輸出量が4.1万トン、前年同期より30%増であった。特にインド向けの輸出量が3.55万トンであった。但し、1~10月のりん酸輸出量が23%減、主にインド、メキシコ、ブラジル、カナダ向けのりん酸輸出が急減した。

     

    2014年化学肥料ニュース