管理人より

 このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
 最新の月のニュースだけを掲載します。月が替わると、前月のニュースは旧聞となり、PDFファイルに整理され、文献資料として残します。読みたい方は、左側の月別をクリックしてください。

 ( )で囲まれる月はまだ到来していないものであるため、クリックしても表示しません。ご注意ください。

3月の国際化学肥料ニュース

* インドのRCF社はイランへの軍事行動により尿素の供給と輸送が妨げられることを理由に、2月18日に開札された尿素国際入札に基づく出港期限を3月31日から4月30日に延期することを発表した。RCF社は2月18日の尿素国際入札に131万トン尿素を購入したが、そのうち30万トンを積み込んでいる7隻の船(カタール産尿素3隻、サウジアラビア産尿素3隻、バーレーン産尿素1隻)がホルムズ海峡の封鎖により、ペルシャ湾に立ち往生している。なお、約52万トン尿素がまだ出港されていない。
 中東湾岸のカタール、サウジアラビア、UAE、バーレーンは通常月間約100万トン尿素の輸出があり、世界尿素貿易の約20%を占めている。Kplerの追跡データによると、3月31日現在、少なくとも91.9万トン尿素を積んだ21隻の船舶がペルシャ湾に滞留しているという。

* 中国は当面硫安の輸出を規制せず、そのまま継続すると予想されているが、市場参加者によれば輸出数量割当制の導入可能性は依然高い。インドネシアのパリ島で開催されているArgus Asia肥料会議の参加者は中国硫安の輸出が今後も続く可能性が高いと述べた。
中国政府は尿素とりん安の輸出をすでに停止して、3月13日に北朝鮮への肥料輸出に関する税関検査が開始し、3月25日から塩安などの化学肥料輸出も一時停止した。化学肥料の輸出再開時期は不明である。

* アブダビの国営企業Adnoc社は4月出荷の硫黄FOB価格を3月より70ドル高い600ドル/トンに設定することを発表した。中東は世界の硫黄貿易の約50%を占めているが、ホルムズ海峡の実質的な閉鎖により海上輸送が止まっている。現在、中東の硫黄供給は海上保険料の上昇や納期の不確さにさらされて、一部の買い手は今後の原材料供給を確保するために予約を望んでいるため、継続的に硫黄の価格を設定している。

* オーストラリア連邦政府は、アメリカとイスラエルがイランへの軍事行動で生じた肥料輸入への影響を制御するためにオーストラリア肥料協会(Fertilizer Australia)と全国農民連盟(National Farmers Federation)を統合して新たな機構を設立することを発表した。オーストラリアの尿素輸入量の約3分の2は中東から調達するもので、新機構は、当局と連携して肥料供給の調整・監視を行い、可能な限り代替輸入先の発見を行うことが含まれる。
 オーストラリアは主要な穀物輸出国で、これから始まる栽培シーズンに十分な尿素在庫を確保しているが、その後の追肥や次シーズンにはさらに多くの尿素を確保するが必要だと市場関係者は述べている。3月26日尿素のCFRオーストラリア価格が1350~1420オーストラリアドル(945~994ドル)/トンなり、1週間前より90オーストラリアドル(63ドル)も上昇した。

* 3月25日、中国税関は硫安を除くすべての化学肥料の新規輸出申請を受付しないことを通告した。すでに輸出を申告して、まだ通関されていない肥料も一律輸出許可しない。これにより、尿素、塩安およびすべてのりん酸肥料、加里肥料、化成肥料の輸出が一時停止することになる。

* 3月30日、EU委員会はEUの国家補助規則に基づき、フランス政府が肥料分野向けに再生可能な低炭素水素を生産するHyforSeeds社に1億4400万ユーロの支援金を交付することを承認した。 HyforSeeds社は水素製造会社Hynamicsの子会社で、フランスのHaut-Rhin県Ottmarsheim-Chalampéにある肥料・工業用化学品メーカーLAT Nitrogen社の敷地内に50MWの電解槽を設置し、低炭素水素を製造する。生産される低炭素水素をアンモニア合成に使用され、年間46,000トン以上のCO2排出を回避できると見込まれている。

* 3月25日、ロシアは硝安の輸出を1か月完全停止することを発表した。ロシア農業省の発表によれば、4月21日までに硝安の新規輸出申請を受付しないこと、すでに輸出許可が下りたが、まだ通関されていない貨物の輸出通関を許可しないことである。ロシアは世界の硝安貿易量の約40%を占めて、輸出停止により、硝安の国際市況が高騰することが予測される。

* 中国政府は国内農業需要を最優先に供給するため、2026年8月までにりん酸肥料の輸出を禁止することを正式に通告した。この通告は1月末に中国国家発展改革委員会の名で非公開に税関とりん酸肥料メーカー、大手輸出商社に伝達したもので、最近になって公になった。また、3月中旬から農業用硝酸加里、NK化成肥料なども輸出禁止となった。

* 中国の雲図控股社は広西省貴港市に新の窒素肥料工場の建設を表明した。その計画では年間200万トンアンモニア、300万トン尿素、120万トン化成肥料の超大型窒素肥料工場で、総投資額159億人民元(約22.7億ドル)、3期に分けて、第1期の投資額10億人民元、2026年着工、2027年に完成する予定である。

* オランダのOCI Global社はアメリカテキサス州Beaumont市に建設した低炭素アンモニア工場(Beaumont New Ammonia (BNA) )の性能試験を完了し、正式にWoodside社に引き渡されたことを発表した。BNAの投資額約18億ドル、年間アンモニア生産能力110万トン、生産過程に排出される二酸化炭素の98%が回収・留置されるいわゆるブルーアンモニアを製造する。

* インド政府は、イランへの軍事行動による世界石油と天然ガス供給不安の状況を受け、「2026年天然ガス供給管理法令」を頒布し、化学肥料業界を天然ガス供給の優先Sector- 2枠に入れて、化学肥料工場に過去6か月平均消費量の70%以上の天然ガスを確実に供給する。

 また、インド化学肥料省は最新の肥料在庫数量を発表した。3月中旬現在、前年同期より36.6%増の1801.2万トンの化学肥料在庫が確保されている。その内訳はDAP 251.7万トン、NPK化成肥料 563万トン。また、3~5月の3か月間にさらに170万トンの輸入尿素が到着する見通しである。

* イランへの軍事行動が起きた後、南米向けのりん酸肥料価格が急騰した。アルゼンチンのDAP/MAP価格は3月19日の中間時点で825ドル/トンに達し、2022年8月以来の最高値となった。モロッコ産MAPのCFRアルゼンチンが860ドル半ばから900ドル半ばを要求している模様。また、4月から5月にかけてアルゼンチン南部に出荷されるロシア産4万トンMAPのCFRは最高910ドル/トンに達する見込みである。
 GTTのデータによると、南米アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイは過去5年間に亘って、1~5月に平均59.9万トンのDAP、MAPとTSP(重過リン酸石灰)を輸入した。Argusのデータによると、今年1~5月にブラジルを除く南米向けのスポット市場で最大48.8万トンのDAP、MAPとTSPが販売され、その多くがアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ向けのものである。その中には9.5〜10万トンのサウジアラビア産DAPとMAPが含まれる。また、4~5月にさらに2.5〜3万トンのDAP、MAPとTSPが契約、輸入されると予測する。

* エジプトはイランへの軍事行動によりイスラエルからの天然ガス供給が中断されたことを受け、尿素生産と輸出が続けることを表明した。エジプト政府は、外貨準備高の維持、インフレ抑制、供給安定を図るため、高騰した天然ガスのスポット価格を支払い、国内需要を抑制するうえにも輸出に重点を置いているようである。
 エジプトは年間720万~730万トンの尿素生産能力を有しており、生産量の約半分を国内市場に割り当て、月間約35万~40万トンを輸出に振り向ける。2023年から2025年の3年間に平均で年間約450万トンの尿素が輸出された。2026年1~4月の輸出可能量が140~160万トンと見込まれている。ただし、尿素メーカーは今のところ天然ガス供給停止などの影響を受けていないものの、業界全体がより広範なガス管理政策から完全に隔離されているわけではないことを認めており、供給制約が続けば生産量が圧迫されるリスクが高まっていると指摘している。

* ノルウェーのYara社はオーストラリアの西オーストラリア州にあるPilbaraアンモニア工場が技術的な理由により計画外の操業停止に追い込まれ、メンテナンス作業には4~6週間がかかることを発表した、Pilbaraアンモニア工場は年間生産能力85万トン、主にクイーンズランド州にある世界的な爆薬製造会社Orica社のYarwun工場に供給するほか、東南アジアや北東アジアにも多量輸出される。
 Profercyのデータによると、2025年Pilbaraアンモニア工場が生産したアンモニアのうち、約37万トンが輸出され、そのうち北東アジアに18.2万トン、タイに4.7万トン、インドネシアに1.8万トン、残りはインドとチリに輸出された。ホルムズ海峡の封鎖に加え、東半球の短期的なアンモニア供給見通しはさらに悪化する恐れがある。

* インドネシアのPupuk社は2026年下期(7~12月)のDAP国際入札を発表した。3月27日締切、後日開札と契約である。契約予定数量は17.5万トンで、その内訳はGresik港揚げ7万トン(7月から11月にかけて1万〜2万トンずつの4回納入)、bontang港揚げ4.5万トン(7月から11月にかけて1.5万ずつの4回納入)、Boom Baru港揚げ4万トン(7月から12月にかけて5000〜1万トンずつの8回納入)、Tanjung Priok港またはCigading港揚げ2万トン(7月から11月にかけて2万ずつの2回納入)と要求される。
 2月28日から始まったイランへの軍事行動以降、硫黄など原材料価格の上昇、DAP供給の不安、急騰する運賃が世界的なDAP価格を急激に押し上げている。DAPのCFR東南アジア価格は2月26日の730〜750ドル/トンから3月19日に800〜850ドル/トンに上昇した。今回の入札も高値の応札と予想されている。

* インド肥料協会(FAI)の最新統計データによれば、2025年4~12月のインド化学肥料販売量5771万トン、その内訳は尿素販売量3116万トン、NPとNPK化成肥料販売量1174万トン、DAP販売量800万トン、過リン酸石灰販売量471万トン、加里肥料販売量177万トン。国内化学肥料生産量が尿素2244万トン、NPとNPK化成肥料927万トン、DAP303万トン、過リン酸石灰443万トン。
 旺盛な肥料需要に対応して、2025年4~12月の化学肥料輸入量が大幅増加した。尿素輸入量が85.3%増の800万トン、化成肥料輸入量が121.8%増の329万トン、DAP輸入量が45.7%増の595万トン、加里肥料輸入量が22.4%減の214万トン。

* 3月19日、アメリカ連邦議会の上院に於いて窒素、りん酸、加里肥料製品の製造業者および卸売業者に対し、価格と数量を毎週公表することを義務付ける超党派の法案が提出された。この「2026年の肥料透明性法」はミネソタ州選出のAmy Klobuchar上院議員(民主党)とサウスダコタ州選出のJohn Thune上院議員(共和党) によって提出され、アイオワ州選出のChuck Grassley 上院議員(共和党)とウィスコンシン州選出のTammy Baldwin 上院議員(民主党)も同調している。>br>  ほかにミネソタ州選出のAmy Klobuchar上院議員(民主党)とカンザス州選出のRoger Marshall 上院議員(共和党)は共同で国内肥料生産の拡大と肥料貯蔵能力の改善を目的とした助成金・融資プログラムを創設する「自家栽培肥料法」をも上院に提出した。

* サウジアラビアのMaaden社はFOB760~770ドル/トンでエチオピアに5万トンDAPを販売した。貨物は東海岸のRas Al-Khair港ではなく、紅海に面したサウジアラビア西部のYanbu港から積み込み・出荷されるため、ホルムズ海峡を迂回することになる。Maaden社は、3月第2週に、南米向けに1.5万トンのMAPを販売した。このMAPは、1月に契約したラテンアメリカ向けの4万トンのDAP/MAPと纏めて出荷される予定である。これにより、4月Yanbu港からのDAP/MAP輸出量は約10万5000トンとなり、ホルムズ海峡の通航止めが続ければ、Yanbu港からの輸出数量はさらに増加すると予想されている。

* アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動により、世界の尿素価格はペースが鈍化しているものの、上昇し続いている。主要な輸出国のスポットFOB価格がトン当たり700ドル以上で推移している。黒海沿岸、ブルネイ、マレーシア、エジプト、ナイジェリアの生産者は積極的に製品を売り込んでいる。トレーダーはポジションの拡大に意欲を示しているが、リスクははるかに高くなっている。
 3月20日はナイジェリアのDangote社が4月出荷分としてFOB 700ドル/トンで3万トン大粒尿素を販売した。エジプトも先週後半から3万トン以上の尿素をFOB 710~720ドル/トンで販売した。

* アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動により、世界のアンモニア貿易量の約20%が影響され、世界のアンモニア相場は緩やかに上昇し続いている。需要側が代替品の調達に奔走する中、アメリカの新たな生産能力が西側諸国への悪影響を緩和している。
 Profercyのデータによると、2025年中東からのアンモニア輸出量は、平均して月間約31.5万トンで、これらのアンモニア輸出はほとんどホルムズ海峡を通過する必要がある。サウジアラビア、カタール、イランの主要輸出国の輸出は、上流の生産施設への被害と、船舶がホルムズ海峡を安全に航行できなくなったことの複合的な要因により、紛争開始以来途絶えている。これにより、昨年平均で月間約4.5万トンを輸出したオマーンが、今のところ中東唯一の生産国兼供給国となり、2万5400トンの貨物がまもなくインド西海岸に向けて出荷される予定だ。
 中東からの供給がほぼ途絶えたため、買い手や貿易業者は、近年比較的豊富な供給量を有する東南アジアと北東アジアから、ますます大量の貨物を求めている。Profercyのデータによると、中国1月と2月のアンモニア輸出量は前年同月比で大幅に増加し、前年同期の約7.5万トンから約12.5万トンに達した。同時期に、インドネシアからの出荷量は約30万トンに達し、前年比で10%増加した。4月積みのスポット貨物について、FOB価格で最大550ドル/トンに上昇し、中東紛争前の取引価格から15~20%の値上げとなった。
 一方、西側諸国では供給状況は概ね良好で、アメリカのテキサス州にあるウッドサイド・エナジー社の年間110万トンの新工場からの最初の輸出貨物として約2.5万トンは、早ければ3月下旬にも積み込みが開始される予定である。また、テキサス州にあるガルフコーストアンモニア(GCA)施設の操業再開が間近に迫って、西側諸国の需要を緩和することに役立つはずである。
 トルコは紛争以前からイラン産アンモニアを大量に輸入していた。紛争開始後、トルコはロシア産アンモニアを求めているものの、第2四半期に到着予定のロシア産アンモニアの新規販売情報はまだ確認されていない。

* 中国税関の速報によれば、2026年1月の中国化学肥料輸出量が14.7%増の257万トン、その内訳は尿素31万トン、硫安145万トン、DAP1万トン、MAP3万トン。2026年2月の中国化学肥料輸出量が2.5%増の249万トン、その内訳は尿素11万トン、硫安143万トン、DAP1万トン、MAP6万トン。1~2月の尿素は輸出割当枠が残った関係で前年より10367.4%も増えて、硫安、DAPとMAPも若干増えた。
 一方、2025年1月の中国化学肥料輸入量が28.9%増の165万トン、その内訳は塩化加里152万トン、NPK化成肥料10万トン。2026年2月の中国化学肥料輸入量が36.9%増の167万トン、その内訳は塩化加里155万トン、NPK化成肥料9万トン。
 2026年1~2月の中国化学肥料輸出金額は10.8億ドル、輸入金額12.32億ドル、久しぶりに貿易赤字が発生した。

* 海運コンサル会社Kplerのデータによれば、ホルムズ海峡の封鎖で、3月17日現在、21隻計98万トンの化学肥料またはその原料を積載している船がペルシャ湾内に滞留している。その内訳は9隻計46.3万トン尿素の船、8隻計30.3万トン硫黄、2隻計10.5万トンりん安の船、2隻計11万トンアンモニアの船である。
 中東湾岸諸国から年間3000~3800万トン尿素、2200~3000万トン硫黄、500万トンりん安、350~400万トンアンモニアがホルムズ海峡を経由して輸出されている。硫黄国際貿易量の半分以上、尿素国際貿易量の約3割を占めている。特にアジア地域では40%の尿素、54%の硫黄と71%のアンモニアの輸入が中東湾岸地域に依存している。ホルムズ海峡の封鎖が長期にわたる場合は世界の肥料貿易に大きな打撃を与え、2022年のように世界肥料価格高騰再来が避けられない。

* サウジアラビアのMaaden社はホルムズ海峡の通航困難を受け、紅海のYanbu港を通じたりん安の輸出再開を目指している。サウジアラビアは通常ペルシャ湾東部のRas Al-Khair港からリン安などを輸出しているが、ホルムズ海峡を通過しなければならない。Maaden社はトラックを使って、Ras Al-Khairの生産施設からYanbu港までりん安を輸送することで、4月からりん安の輸出を正常に戻させる計画である。

* エジプトの肥料メーカーNCIC社は3月15日に締切りの肥料販売入札の結果を公表した。落札価格はFOB335ドル/トンで2.5万トン過リン酸石灰、FOB620~630ドル/トンで1500トン硫酸加里である。中東の緊張情勢を受け、今回の過リン酸石灰と硫酸加里の落札価格が大幅に上がった。

* 3月16日、ロシアは大手肥料メーカーAcron社の生産子会社PJSC社のSmolensk市にある窒素肥料工場が2月下旬にウクライナからのドローン攻撃を受け、火災が発生したことで生産が全面停止となったことを発表した。生産再開は5月の予定である。PJSC社のSmolensk窒素肥料工場の年間生産能力約200万トンである。

* 中国湖北省の応城新都化工社は新設のアンモニアと尿素プラントが完成し、稼働し始まると発表した。当該アンモニアと尿素プラントは湖北省応城市にあり、石炭を原料にして、年間70万トンアンモニアと60万トン水溶性化成肥料、40万トン緩効性化成肥料の生産能力がある。

* EUは2026年のある時期から1年間に限って、ロシアとベラルーシ以外の国と地域から輸入されるアンモニア、尿素およびその他の窒素肥料に対して輸入関税を免除することを検討している。その目的はEU農家の施肥コストを削減し、農業生産を助けることである。ただし、ロシアとベラルーシからの輸入化学肥料に対する関税(例えば、尿素に対して6.5%プラス40ユーロ/トンの関税)を免除しない。
 この肥料輸入関税の一時停止案はすでに1月にEU委員会の担当者が提案して、全加盟国の投票を待って、2026年5月1日から施行される見通しである。肥料の輸入関税一時停止により、約6000万ユーロの関税収入が減少する。

* イランへの軍事行動により、3月13日現在、カタールとイランのアンモニアと尿素工場の操業停止に加え、ペルシャ湾沿岸のアラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーンからの出荷も事実上停止している。これらの湾岸諸国で尿素の大規模な生産削減の報告はないものの、在庫の積み上がりによって厳しい決断を迫られるのではないかという懸念は依然として残っている。
 中東以外では、エネルギー関連の課題が顕著に表れており、インドの尿素生産量は天然ガス供給の制約によって脅かされているほか、パキスタンとバングラデシュでも生産削減が行われている。また、インドのRCF社が2月に行った尿素国際入札で契約された中東産尿素50万トンの供給可否状況は不透明である。
 2月28日の軍事行動が発生する前に、3~4月の世界尿素貿易に供給は既に逼迫していた。中国産尿素の輸出不可に加えて、ホルムズ海峡が事実上封鎖されている状況下では、世界中の買い手は選択肢がほとんどなく、困難な立場に置かれている。日を追うごとに、事態の深刻さは増して、2022年ロシアによるウクライナ侵攻時に起きた世界肥料価格高騰の再来を危惧している。

* アメリカの農務長官Brook Rollins氏は、イランへの軍事行動による窒素肥料の価格急騰に対応し、春シーズンを前に肥料コストを抑えるために「あらゆる手段」を検討していると述べた。
 アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動が勃発した後、アンモニア、尿素、硝安などの窒素肥料の価格は過去2週間に急騰している。Rollins氏は検討中の具体的な政策措置については明言しなかったが、農家への追加資金確保に向けて議員と協力していると述べた。アメリカ農務省(USDA)は2025年12月に最新の農業援助パッケージを展開し、今年2月末から支払いが開始される予定である。

* 東南アジアのブルネイの尿素メーカーBFI社は3月12日に開札された尿素の販売入札でFOB710ドル/トンで6000トン大粒尿素を販売した。貨物は3月末から4月上旬まで積み込みが予定されて、そのうちの25,000〜30,000トンはオーストラリア向けのものである。オーストラリアは通常、尿素の2/3以上が中東オマーンから輸入しているが、イランへの軍事行動により、輸入が途絶えている。インドネシアや中国からの尿素の入手も不可な状況で、マレーシア、ブルネイ、ベトナムから調達せざるを得ない。オーストラリアの尿素価格は軍事行動後少なくとも45%上昇しており、今週のジーロングのFCA価格は1,200オーストラリアドル/トン(1,377ドル/トン)に達した。

* イランへの軍事行動が発生した後、3月第2週にサウジアラビアのMaaden社はアルゼンチンにCFR815~820ドル/トンで1.5万トンMAPを販売した。ホルムズ海峡が通航止めとなっているが、貨物の出荷方法について詳細は明かさなかった。また、モロッコのOCP社はブラジルにはCFR800~805ドルで3万トンMAP、ブラジル以外の南米(多分アルゼンチン)にCFR810~820ドル/トンで5万トンMAP、CFR645~650ドル/トンで過リン酸石灰1万トンを販売した。これらの貨物は4月の出荷予定である。

* 3月2日、エジプトのNCIC社は3月販売分の肥料販売入札を発表した。販売種目と数量は、DAP1万トン、重過リン酸石灰1万トン、大粒尿素1万トン、硝酸石灰1.5万トン。3月4日締切りとなる。

* 3月4日、カタールの国営カタール・エナジー社は3月の硫黄FOB価格520ドル/トンを設定して、2月のFOB価格と同じであることを発表した。元々3月1日に発表する予定だったが、中東の地政学変動により、3月4日に延期した。

* 中東紛争が起きた後の3月2日、エジプトの尿素メーカーMopco社はFOB505ドル/トンで6000トン大粒尿素を販売し、AlexFert社もFOB495ドル/トンで小粒尿素6000トンを販売した。紛争前の価格より約10~15ドル/トン上がった。

* インドネシア政府は2026年に尿素、化成肥料などに20%の肥料補助金制度を継続すると発表した。補助金は政府指定される最高小売価格内に抑えるように肥料工場または輸入業者の出荷時に支払う方式(HET)を採用する。2026年の補助金対象肥料の数量は955万トンと設定されている。

* 中東紛争が起きた後、サウジアラビアのMaaden社はFOB730~735ドル/トンで東南アジアに4.5~5万トンDAP、FOB710~712ドル/トンでパキスタンに4~4.5万トンDAPを販売した。紛争前の価格より約15~30ドル/トン上がった。

* インドと大手加里メーカーとの間に行っている2026年塩化加里輸入基本契約は難航して、3月中旬まで合意できる可能性が極めて低い。インド加里肥料最大手の輸入業者IPL社は基本輸入契約のCFR価格が360ドル/トン以下にならないと、合意する可能性が低いと発言した。インドは1~2月にスポットで塩化加里を輸入して、国内に供給している。1月に約43万トン塩化加里を輸入して、その内訳はロシアからの輸入が80%、イスラエルからの輸入が12%、ヨルダンからの輸入が8%であった。

* クウェートの国営硫黄生産会社KPCは、3月のクウェートの硫黄FOB価格を520ドル/トンで決定した。これは、カタールの国営カタールエネルギーとアブダビの国営アドノックがすでに発表した3月の硫黄価格と同じである。なお、アメリカとイスラエルのイランへの軍事行動により、ホルムズ海峡が事実上に閉鎖され、中東の硫黄輸出は大部分が停滞している。

* アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動を受け、3月第2週の東南アジア産大粒尿素のFOB価格が700ドル/トン以上に急騰した。ベトナムのCa Ma社は4月積み込みの大粒尿素3~4万トンをFOB700ドル/トンでオーストラリア向けに販売した。マレーシアのPetronas社も5月積み込みの大粒尿素をFOB700~750ドル/トンを要求している。3月第1週(2~8日)のFOB価格が650ドル/トンであった。なお、東南アジア産大粒尿素のFOB価格が紛争開始前の2月最終週に485~497ドル/トンであった。
 ブルネイのBFI社は3月と4月出荷分がほぼ完売しており、インドネシアのPupuk社はまだ販売入札を発表していない。また、短期的に中国尿素の輸出可能性が非常に低く、アジア地域の尿素供給がひっ迫の状況となっている。

* 3月11日中国武漢で開催された中国春季窒素肥料市場分析会において、中国窒素工業協会から2026年中国国内窒素肥料の生産と需要に関する予測が出た。
 2026年新たに507万トンの尿素生産能力が完成し、中国の尿素生産能力が2025年末の7245万トンから7750万トンに増加する。2026年の尿素実生産量が7650万トンに達すると推測される。その一方、尿素の国内需要量が約6600万トン、そのうち訳は肥料用4300万トン、肥料以外2300万トン、約1000万トンの尿素が余る状況になる可能性が高い。また、2026年中国農業分野での窒素肥料需要量2571.8万トン(N換算)、りん酸肥料需要量1110.4万トン(P2O5換算)、加里肥料需要量1312.3万トン(K2O換算)と予測されている。

* 中国窒素工業協会の統計データによれば、2025年中国アンモニア生産量が6.1%増の7768.7万トン、窒素肥料生産量がN換算で6.8%増の5256.3万トン、尿素実生産量が7.1%増の7201.3万トン。国内窒素肥料製品の消費量がN換算で0.7%増の4425.1万トン、そのうち肥料としての消費量が6割以上。2025年中国窒素肥料輸出量がN換算で68.6%増の934万トン、そのうち尿素実輸出量が1780%増の489.4万トン。しかし、窒素肥料業界の純利益総額が75%減の約20億人民元(約2億8500万ドル)しかなく、製品売上の平均利益率が1.0%、47.1%の窒素肥料メーカーが赤字を計上している。

* オーストラリアのWesfarmers Chemicals, Energy & Fertilisers(WesCEF)社は西オーストラリア州 Kwinana工業団地に硝酸プラント1基を増設し、硝安などの硝酸塩化合物の年間生産能力を80万トン以上に拡張する。

* アメリカのTalusAg社は、CFS社およびCleanCounts社と協力して、共同でミネソタ州に小型のアンモニア生産施設Talus10を建設することを発表した。TalusAg社はモジュール化された超小型アンモニアプラントTalus10を開発して、すでにアイオワ州を拠点とする農業協同組合Landusと協力し、2025年初頭に1日1トンの地元アンモニア生産プロジェクトを完了した。今回はTalus10超小型アンモニアプラント2基をミネソタ州に導入する。地元の風力発電と水力発電を利用して、最大20トン/日のグリーンアンモニアを生産し、地域の農作物生産に必要な肥料や発電用アンモニア燃料を供給するという。

* オーストラリアのHiringa Energy社とSundown Pastoral社はニューサウスウェールズ州のMoree Farmに建設中の再生可能エネルギーを利用するGood Earthグリーン水素・アンモニアプラントが間もなく完成し、稼働が始まると発表した。当該プロジェクトはニューサウスウェールズ州で最初の大規模グリーン水素・アンモニア生産施設で、総投資額7,000万ドルを超えるこのプロジェクトに州政府が4,520万ドルを拠出している。グリーン水素・アンモニアプラントが完成後、年間4500トングリーンアンモニアを生産して、地元のSundown’s Keytah綿花農場に供給し、窒素肥料として使用される。余った量が地域の他の農家に供給されるという。

* 3月7日付のトルコ大統領令により、尿素に対する6.5%の輸入関税が撤廃された。今までにエジプト、カタール、マレーシアの3か国を除くほかの尿素原産国から6.5%の輸入関税を課していた。
 トルコは国内の尿素産業が貧弱で、輸入尿素に大きく依存しており、2023~25年度に年間平均280万トンの尿素を輸入している。2025年の尿素輸入量約270万トンの内訳は、イランから約44%、エジプトから約24%、ロシアから約13%であった。ほかにトルクメニスタンとウズベキスタンからも約30万トンを輸入した。2月28日からイランへの軍事行動により、イラン尿素の輸入が途切れた。国内需要を満たすために、輸入関税を撤廃して、多くの輸入ソースを開拓する必要がある。

* デンマークの再生可能エネルギー開発会社Copenhagen Infrastructure Partners (CIP) とドイツの水素企業Hy2Genは、ノルウェーで開発中の240MWのグリーン水素・アンモニアプロジェクトを中止すると発表した。
 ノルウェー南西部Saudaで計画されていたIverson eFuelsプロジェクトは、ノルウェーの電力事業者Statnett社が計画しているUtsira Nord洋上風力発電から270MWの電力供給を受けて、年間20万トングリーンアンモニアの生産を目標としていた。2024年から建設が開始し、2027年完成・稼働する予定であるが、Statnett社のUtsira Nord洋上風力発電から撤退することを受け、余儀なく中止に追い込まれる。

* オーストラリアの爆薬会社Dyno Nobel社は所有のHillりん酸肥料工場をオーストラリアのMayfair社の完全子会社Ryowa II GPS社に最大1億オーストラリアドル(約7000万ドル)で売却すると発表した。ただし、売却の最終決定は、Dyno Nobel社、Mayfair社、クイーンズランド州政府およびオーストラリア競争消費者委員会の間に4月1日までの合意にかかっているとDyno Nobel社は述べた。同社によると、売却が失敗した場合、Dyno Nobel社は2026年9月30日までにHillりん酸肥料工場を閉鎖すると述べている。
 Dyno Nobel社は、Hillりん酸肥料工場の売却を通じて肥料事業を分離し、爆薬事業に集中するという。