管理人より

 このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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3月の国際化学肥料ニュース

* イランへの軍事行動が発生した後、3月第2週にサウジアラビアのMaaden社はアルゼンチンにCFR815~820ドル/トンで1.5万トンMAPを販売した。ホルムズ海峡が通航止めとなっているが、貨物の出荷方法について詳細は明かさなかった。また、モロッコのOCP社はブラジルにはCFR800~805ドルで3万トンMAP、ブラジル以外の南米(多分アルゼンチン)にCFR810~820ドル/トンで5万トンMAP、CFR645~650ドル/トンで過リン酸石灰1万トンを販売した。これらの貨物は4月の出荷予定である。

* 3月2日、エジプトのNCIC社は3月販売分の肥料販売入札を発表した。販売種目と数量は、DAP1万トン、重過リン酸石灰1万トン、大粒尿素1万トン、硝酸石灰1.5万トン。3月4日締切りとなる。

* 3月4日、カタールの国営カタール・エナジー社は3月の硫黄FOB価格520ドル/トンを設定して、2月のFOB価格と同じであることを発表した。元々3月1日に発表する予定だったが、中東の地政学変動により、3月4日に延期した。

* 中東紛争が起きた後の3月2日、エジプトの尿素メーカーMopco社はFOB505ドル/トンで6000トン大粒尿素を販売し、AlexFert社もFOB495ドル/トンで小粒尿素6000トンを販売した。紛争前の価格より約10~15ドル/トン上がった。

* インドネシア政府は2026年に尿素、化成肥料などに20%の肥料補助金制度を継続すると発表した。補助金は政府指定される最高小売価格内に抑えるように肥料工場または輸入業者の出荷時に支払う方式(HET)を採用する。2026年の補助金対象肥料の数量は955万トンと設定されている。

* 中東紛争が起きた後、サウジアラビアのMaaden社はFOB730~735ドル/トンで東南アジアに4.5~5万トンDAP、FOB710~712ドル/トンでパキスタンに4~4.5万トンDAPを販売した。紛争前の価格より約15~30ドル/トン上がった。

* インドと大手加里メーカーとの間に行っている2026年塩化加里輸入基本契約は難航して、3月中旬まで合意できる可能性が極めて低い。インド加里肥料最大手の輸入業者IPL社は基本輸入契約のCFR価格が360ドル/トン以下にならないと、合意する可能性が低いと発言した。インドは1~2月にスポットで塩化加里を輸入して、国内に供給している。1月に約43万トン塩化加里を輸入して、その内訳はロシアからの輸入が80%、イスラエルからの輸入が12%、ヨルダンからの輸入が8%であった。

* クウェートの国営硫黄生産会社KPCは、3月のクウェートの硫黄FOB価格を520ドル/トンで決定した。これは、カタールの国営カタールエネルギーとアブダビの国営アドノックがすでに発表した3月の硫黄価格と同じである。なお、アメリカとイスラエルのイランへの軍事行動により、ホルムズ海峡が事実上に閉鎖され、中東の硫黄輸出は大部分が停滞している。

* アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動を受け、3月第2週の東南アジア産大粒尿素のFOB価格が700ドル/トン以上に急騰した。ベトナムのCa Ma社は4月積み込みの大粒尿素3~4万トンをFOB700ドル/トンでオーストラリア向けに販売した。マレーシアのPetronas社も5月積み込みの大粒尿素をFOB700~750ドル/トンを要求している。3月第1週(2~8日)のFOB価格が650ドル/トンであった。なお、東南アジア産大粒尿素のFOB価格が紛争開始前の2月最終週に485~497ドル/トンであった。
 ブルネイのBFI社は3月と4月出荷分がほぼ完売しており、インドネシアのPupuk社はまだ販売入札を発表していない。また、短期的に中国尿素の輸出可能性が非常に低く、アジア地域の尿素供給がひっ迫の状況となっている。

* 3月11日中国武漢で開催された中国春季窒素肥料市場分析会において、中国窒素工業協会から2026年中国国内窒素肥料の生産と需要に関する予測が出た。
 2026年新たに507万トンの尿素生産能力が完成し、中国の尿素生産能力が2025年末の7245万トンから7750万トンに増加する。2026年の尿素実生産量が7650万トンに達すると推測される。その一方、尿素の国内需要量が約6600万トン、そのうち訳は肥料用4300万トン、肥料以外2300万トン、約1000万トンの尿素が余る状況になる可能性が高い。また、2026年中国農業分野での窒素肥料需要量2571.8万トン(N換算)、りん酸肥料需要量1110.4万トン(P2O5換算)、加里肥料需要量1312.3万トン(K2O換算)と予測されている。

* 中国窒素工業協会の統計データによれば、2025年中国アンモニア生産量が6.1%増の7768.7万トン、窒素肥料生産量がN換算で6.8%増の5256.3万トン、尿素実生産量が7.1%増の7201.3万トン。国内窒素肥料製品の消費量がN換算で0.7%増の4425.1万トン、そのうち肥料としての消費量が6割以上。2025年中国窒素肥料輸出量がN換算で68.6%増の934万トン、そのうち尿素実輸出量が1780%増の489.4万トン。しかし、窒素肥料業界の純利益総額が75%減の約20億人民元(約2億8500万ドル)しかなく、製品売上の平均利益率が1.0%、47.1%の窒素肥料メーカーが赤字を計上している。

* オーストラリアのWesfarmers Chemicals, Energy & Fertilisers(WesCEF)社は西オーストラリア州 Kwinana工業団地に硝酸プラント1基を増設し、硝安などの硝酸塩化合物の年間生産能力を80万トン以上に拡張する。

* アメリカのTalusAg社は、CFS社およびCleanCounts社と協力して、共同でミネソタ州に小型のアンモニア生産施設Talus10を建設することを発表した。TalusAg社はモジュール化された超小型アンモニアプラントTalus10を開発して、すでにアイオワ州を拠点とする農業協同組合Landusと協力し、2025年初頭に1日1トンの地元アンモニア生産プロジェクトを完了した。今回はTalus10超小型アンモニアプラント2基をミネソタ州に導入する。地元の風力発電と水力発電を利用して、最大20トン/日のグリーンアンモニアを生産し、地域の農作物生産に必要な肥料や発電用アンモニア燃料を供給するという。

* オーストラリアのHiringa Energy社とSundown Pastoral社はニューサウスウェールズ州のMoree Farmに建設中の再生可能エネルギーを利用するGood Earthグリーン水素・アンモニアプラントが間もなく完成し、稼働が始まると発表した。当該プロジェクトはニューサウスウェールズ州で最初の大規模グリーン水素・アンモニア生産施設で、総投資額7,000万ドルを超えるこのプロジェクトに州政府が4,520万ドルを拠出している。グリーン水素・アンモニアプラントが完成後、年間4500トングリーンアンモニアを生産して、地元のSundown’s Keytah綿花農場に供給し、窒素肥料として使用される。余った量が地域の他の農家に供給されるという。

* 3月7日付のトルコ大統領令により、尿素に対する6.5%の輸入関税が撤廃された。今までにエジプト、カタール、マレーシアの3か国を除くほかの尿素原産国から6.5%の輸入関税を課していた。
 トルコは国内の尿素産業が貧弱で、輸入尿素に大きく依存しており、2023~25年度に年間平均280万トンの尿素を輸入している。2025年の尿素輸入量約270万トンの内訳は、イランから約44%、エジプトから約24%、ロシアから約13%であった。ほかにトルクメニスタンとウズベキスタンからも約30万トンを輸入した。2月28日からイランへの軍事行動により、イラン尿素の輸入が途切れた。国内需要を満たすために、輸入関税を撤廃して、多くの輸入ソースを開拓する必要がある。

* デンマークの再生可能エネルギー開発会社Copenhagen Infrastructure Partners (CIP) とドイツの水素企業Hy2Genは、ノルウェーで開発中の240MWのグリーン水素・アンモニアプロジェクトを中止すると発表した。
 ノルウェー南西部Saudaで計画されていたIverson eFuelsプロジェクトは、ノルウェーの電力事業者Statnett社が計画しているUtsira Nord洋上風力発電から270MWの電力供給を受けて、年間20万トングリーンアンモニアの生産を目標としていた。2024年から建設が開始し、2027年完成・稼働する予定であるが、Statnett社のUtsira Nord洋上風力発電から撤退することを受け、余儀なく中止に追い込まれる。

* オーストラリアの爆薬会社Dyno Nobel社は所有のHillりん酸肥料工場をオーストラリアのMayfair社の完全子会社Ryowa II GPS社に最大1億オーストラリアドル(約7000万ドル)で売却すると発表した。ただし、売却の最終決定は、Dyno Nobel社、Mayfair社、クイーンズランド州政府およびオーストラリア競争消費者委員会の間に4月1日までの合意にかかっているとDyno Nobel社は述べた。同社によると、売却が失敗した場合、Dyno Nobel社は2026年9月30日までにHillりん酸肥料工場を閉鎖すると述べている。
 Dyno Nobel社は、Hillりん酸肥料工場の売却を通じて肥料事業を分離し、爆薬事業に集中するという。